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皆さんこんにちは!
有限会社ベストテクノ、更新担当の中西です。
“歩く・寄りかかる・出入りする”——ベランダ・バルコニーは屋上以上に人の動きと細かい金物が集中する“防水に厳しい場所”。本回は、低いしきい・手すり脚・室外機・物干し金物・避難ハッチなど、漏水リスクの集合体を排水計画・端末・防滑・役物納まりで安全側へ倒す“勝ち型”を解説します。
1. ベランダ特有の条件—“屋上とは違う3要素”
1) 低しきい:サッシ下端が低く、200mm立上りが取りにくい。
2) 点荷重・局所動き:手すり脚・物干し金物・脚立設置で局所応力が集中。
3) 歩行・防滑・掃除:濡れた靴・洗濯排水・高圧洗浄NGなど運用の影響が大。
2. 排水・勾配・オーバーフロー
• 目標勾配:1/50〜1/100。逆勾配スポットはサドルで消す(第3回)。
• ドレン:改修用ドレン+低背ストレーナ。毛髪・糸くずで詰まりやすいので清掃しやすい形状を選ぶ。
• スリット・側溝:サッシ際に浅いスリットを設け線排水→点(ドレン)へ。
• オーバーフロー:室内しきい<OFにならないよう外壁側先出し。吐出の汚れに配慮して庇上→縦樋も検討。
3. しきい・サッシ下の“見えない立上り”
• 溝型見切り+水返し金物:サッシ下に差し込み、床側へ折返しを作る。
• 段差形成:床側を10〜20mm局所的に下げ、立上り200mm相当を見えない形で確保。
• シール:サッシ両端は二面接着。水下にジョイントを置かない。
• 内装側:二次防水トレーや水受けプレートで、万一の浸入時の拡大を防止。
4. 手すり脚・金物・貫通—“点を漏らさない”
• 手すり脚:スリーブ+止水リング+金物座金→上から防水被覆。固定はトルク管理。
• 物干し金物・フック:穿孔位置の合意→貫通部は二重止水。コーキング単独禁止。
• エキスパンション:バルコニーの躯体継ぎはブリッジ材でせん断逃がし。
• サイディング取り合い:胴差し金物は水返しと二面接着で裏水を遮断。
5. 防滑・表面仕上げ・清掃運用
• 防滑:
o ウレタン:骨材散布 or 混入で濡れ靴OKの粗さに。
o FRP:トップに骨材(#16〜30)。
o シート:エンボスやノンスリップシートを選択。
• 段差・見切り:
o 見切り金物は水返し形状。つまずき防止に面取り。
• 清掃:高圧洗浄NGを引渡し説明書に明記。柔らかいブラシ+中性洗剤を推奨。
6. 工法別の勘所(ベランダ版)
• ウレタン(密着/通気):
o 複雑ディテールに最適。立上り2倍理論で厚み確保。
o 通気緩衝は脱気筒の位置を邪魔にならない隅に。
• FRP:
o 硬質・強靭で歩行・点荷重に強い。角部の先行300→本層450が勝ちパターン(第8回)。
o 熱・臭気管理と層間研磨が命。
• シート(PVC/TPO/EPDM):
o 大面積・直線的なベランダに有利。立上り役物を活用し二重化。
o 端部は押え金物+水返しで毛細管上がりを遮断。
7. 室外機・配管・ドレンホース
• 置台:荷重分散板+保護マット。防振ゴムの可塑剤移行に注意(バリアシートを挟む)。
• 配管穴:スリーブ化+止水リング+ブーツ。室内側は受けトレー。
• ドレンホース:ドレンへ直結 or 地上へ。床面に放流しない(汚れ・藻)。
8. 避難・安全・法規
• 避難ハッチ:開閉スペースを常時確保。防水で塞がない。
• 手すり高さ・強度:改修で金物交換時は建築基準に適合。
• 火気:FRP・トーチ作業時は火気監視員・防炎シート・消火器を常備。
9. 品質管理(ITP)—“歩行と点荷重を見える化”
• 膜厚:立上り×2倍、端末+1層をWFT×写真で証拠化。
• 貫通:スリーブ・止水リング・ブーツ・被覆の4点セット写真。
• 排水:色水→ドレン流下動画を引渡し資料に。
• 防滑:骨材番手・散布量・すべり抵抗値(必要に応じ)を記録。
10. よくあるNG&リカバリー ⚠️
• サッシ下端が低い→浸水:→ 見えない水返しと局所段差で立上り相当高さを確保。
• 手すり脚からの点漏水:→ スリーブ+止水リング+被覆で二重化、座金下の水たまりを作らない。
• 高圧洗浄で塗膜剥離:→ 引渡し説明と清掃マニュアルを徹底。
• ドレン目詰まり:→ 低背ストレーナ+清掃周期、落葉期前の前倒し清掃。
11. ケーススタディ
11-1. サッシしきい90mmのベランダ
• 状況:豪雨時に室内へ浸水。
• 対策:溝型見切り+水返し金物を差込み、床側に10mm段差を形成。通気緩衝ウレタンで再防水。
• 結果:台風時も無事。見た目の段差は巾木で意匠処理。
11-2. 手すり脚からの点漏水
• 状況:ビス増しで応急→再発。
• 対策:穿孔やり直し→スリーブ化→止水リング→金物被覆の手順を実施。
• 結果:一年点検で漏水ゼロ。
11-3. すべり事故クレーム
• 状況:雨天時に居住者がスリップ。
• 対策:骨材散布で防滑強化、清掃マニュアル配布。
• 結果:以後事故ゼロ、見た目の意匠も良好。
12. 現場5分チェックリスト ✅
☐ 勾配1/50〜1/100・逆勾配スポットのサドル計画
☐ 見えない立上り(溝型見切り+水返し/段差)の採用
☐ 手すり脚・金物のスリーブ化+二重止水
☐ 低背ストレーナ・OF高さ・清掃動線
☐ 防滑仕様(骨材番手/エンボス)・清掃運用
☐ 室外機置台:分散板・可塑剤バリア
☐ 写真台帳(膜厚・貫通4点セット・色水動画)
13. まとめ—“人が使う床”の防水は運用まで設計
ベランダ・バルコニーは低しきい×点荷重×歩行という難条件。見えない水返しで高さを確保し、点を二重止水、防滑と清掃まで踏み込めば、美観と安全と長寿命を同時に満たせます。写真と数値で引渡せば、運用も迷いません。
次回予告:「第13回 屋上防水の計画と歩行・荷重対応」—歩行帯・点検口・機器基礎・避難導線、荷重分散板や飛来物対策まで、広い屋上を“使い倒しても漏らさない”設計を解説します。️️景→寄り→レグレット内部/押え金物のピッチが分かる寄り→二面接着の背面材が写る写真。 – 合否:引張付着(必要時)/ピール(シート溶着部)/水張りor散水で端部からの浸入ゼロ確認。
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皆さんこんにちは!
有限会社ベストテクノ、更新担当の中西です。
雨は端から入る。面(床)をどれだけ丁寧に仕上げても、端末・立上り・笠木・パラペットのディテールが甘ければ漏れます。本回は「水返し」「二面接着」「返し・段差・勾配」「金物の伸縮」といった原理原則を、ウレタン/FRP/シート/アスファルト各工法に横断適用できる“勝ちパターン”として整理します。
1. 基本原則—“水を止める”の三階層
1. 形で止める(形状止水):水返し・ドリップ・折返し・勾配で、毛細管・逆流・滞留を起こさせない形。
2. 材料で止める(防水層):床→立上り→端末が連続していること。端部は補強布や役物で応力分散。
3. シールで止める(二次止水):二面接着・バックアップ材・目地幅の適正化。シールは最後の守備であって単独の防水ではない。
2. 立上りの高さ・折返しと“見えない水返し”
• 高さ:外部は200mm目安(最低150mm)。掃き出しサッシ・勝手口の低いしきいは、水返し金物で代替的に高さを確保。
• 折返し:立上り上端は面一で切らない。被せ・返し・見切り溝(レグレット)で毛細管上がりを遮断。
• 見えない水返し:サッシ下端が低い場合、溝型見切り金物+水返しをサッシ下に潜り込ませ、床側へ折り返して返水を止める。
3. 笠木(キャップ)とパラペット—“裏の水”を制する
• 勾配:笠木天端は内外どちらかへ1/50以上の勾配を必ず付ける。フラットは厳禁。
• 端部処理:エンドダム(端部立ち上げ)で端からの横溢れを止める。
• ドリップ:裏面折返し+ドリップ溝で外壁を汚さず、戻り水を止める。
• ジョイント:水下を避けて配置し、カバー板+二次止水(ブチル・シール)で段葺き的に。
• 伸縮:金物は温度伸縮を吸収する継手(スリップ)を3〜4mピッチで設置。固定点と可動点を設計で分ける。
• 固定:目地から離した位置にビス。座金水溜まりを作らない。ステンレス・アルミ・ガルバの異種金属接触腐食にも注意。
4. 端末のつくり方—素材別の“勝ち手順”
4-1. ウレタン塗膜
1. 入隅R成形(10〜20mm)→先行補強布。
2. 立上り2倍理論で増し塗り → 面と連続被覆。
3. 上端は押え金物orレグレットで機械的に止める。仕上は二面接着で。
4-2. FRP
1. 樹脂パテでR成形→CSM300→450の順で追従+厚み。
2. 立上り上端は見切り金物に被せ納め。
3. ドレン・貫通周りは+1層積層。
4-3. シート(PVC/TPO/EPDM)
1. 立上りは一体成形コーナー+シーム二重化。
2. 上端は押え金物+水返し形状、ホットエア溶着(PVC/TPO)or プライマー+テープ(EPDM)。
3. ルーズラップ・ブリッジで躯体の動きを逃がす。
4-4. アスファルト
1. 入隅補強シート→本体→キャップの三重。
2. 端末は改質アス+押え金物でビード連続を確認。
3. 小口・水下は段葺きで水路を作らない。⬛
5. シーリング—“二面接着”を守る ✍️
• バックアップ材(発泡ポリエチレン等)で目地底を切る→二面接着。三面は早期破断の原因。
• 幅/深さ:一般外装でW:D ≈ 2:1目安(例:W10〜20mmに対しD5〜10mm)。
• 可とう性:動きが大きい取り合いは高変位型、笠木ジョイントは低弾性で追随。
• プライマー:下地別に選定(第5回)。オープンタイム厳守。
• 換気:室内側作業は換気・VOC配慮。
6. レグレット(溝)・押え金物—“機械で止める”の基本
• レグレット:モルタル目地や笠木側面に溝切り→防水端末を差し込み→シール封止。毛細管上がりを物理的に止める。
• 押え金物:テーパーワッシャ+防水ネジで300〜450mmピッチ固定。上端は返しで水が乗り越えない形状に。
• 端部シールは二面接着で二次止水。
7. ドレン・オーバーフロー・スカッパ—“出口”の信頼性
• ドレン:改修用ドレン+機械固定+止水材。サドルで逆流防止(第3回)。
• オーバーフロー:主要ドレンが詰まっても室内へ行かない高さに。吐出口の意匠(外壁汚れ対策)も配慮。
• スカッパ(外部側溝吐出):三次元コーナーは成形役物+補強で二重化。
• 清掃性:ストレーナは着脱容易。点検口・はしご動線も設計の一部。
8. しきい・サッシ・ドア下—“低い”を安全側に
• 防水立上り<サッシ下端のときは水返し金物+溝型見切りで隠れ立上りを作る。
• ドアしきいは水返し段差+ドリップ。フラットは不可。
• サッシ両端は二面接着+背面材、外側水下側にジョイントを置かない。
9. 金物の材料・防食—“長寿命の基礎体力”
• 材料:ステンレスSUS304/316、アルミ合金、溶融亜鉛めっき鋼板(t=0.8〜1.2mm目安)。
• 異種金属接触腐食:絶縁テープ・座金で界面を切る。海岸・工業地帯は耐食グレードを上げる。
• コーキング頼み禁止:形+機械固定+二次止水の三重で。
10. 品質管理(ITP)—“写真と言葉で再現可能”に
• 図面:端末・笠木・ドレン・スカッパ・貫通のディテール図を配布。
• 写真標準:広角→中景→寄り→ディテール(レグレット断面・金物断面・シール裏面)→検査数値(ゲージ・トルク・ピール)の順で“誰が見ても同じ結論”。
• 合否の言語化:
o 立上り高さ:外部200mm目安(最低150mm)を満足。
o 金物:水返し形状+返しがあり、ビスピッチ300〜450mm、座金の水たまり無し。
o シール:二面接着でW:D≈2:1、プライマー有、端末気泡・ピンホール無し。
o ドレン:改修用ドレンは機械固定+止水材、サドル形成、ストレーナ低背。
11. ケーススタディ
11-1. 低いしきい×掃き出しサッシ(外部200mmが取れない)
• 状況:ベランダの床からサッシ下端まで90mmしかない。強雨で浸入。
• 対策:サッシ下に溝型見切り+水返し金物を差し込み、床側へ折返しを形成。床は局所段差を設け見えない200mmを確保。
• 結果:台風時も浸入ゼロ。見た目はフラットのまま機能的高さを実現。
11-2. パラペット笠木の“裏の水”
• 状況:笠木ジョイントからの裏回りで外壁にシミ。
• 対策:笠木を勾配1/50で再製作、エンドダム追加。ジョイントはカバー板+ブチルで段葺き。固定点/可動点を分離。
• 結果:裏水解消、外壁の汚れ筋も消失。
11-3. 端末金物依存の漏水
• 状況:シール頼みで端末が早期劣化。
• 対策:レグレット差込み+押え金物+二面接着の三重化。毛細管上がりを形で遮断。
• 結果:以降の定期点検で再発なし。
12. 現場5分チェックリスト ✅
☐ 立上り高さ(外部200mm目安/最低150mm)を満たす代替案(見えない水返し)
☐ レグレット or 押え金物のどちらで機械止水するか
☐ 水返し・ドリップ・エンドダムの有無と形状
☐ シール二面接着:バックアップ材・プライマー・W:D
☐ ドレン:改修用・サドル・ストレーナ・OF高さ
☐ 金物伸縮:固定点/可動点の設計分離
☐ 異種金属接触腐食の回避(絶縁・材料選定)
☐ 写真標準と合否の言語化の用意
13. まとめ—“形×材料×シール”の三段守備で漏らさない
端末・立上り・笠木・パラペットは、形で止める→材料で連続→シールで保険の三段守備が基本。水返し・ドリップ・段葺きで毛細管・裏水・逆流を断ち、機械的固定とレグレットで再現性を担保する。数値と写真で誰でも判定できる資料化まで到達して、ようやく“止め切った”と言えます。
次回予告:「第12回 ベランダ・バルコニー防水の注意点」—しきいが低い/手すり脚が多い/人が歩くという三重苦を、排水・端末・防滑・ディテールで攻略します。️
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皆さんこんにちは!
有限会社ベストテクノ、更新担当の中西です。
“重ねて、溶かして、つなぐ。” 長寿命で信頼の厚いアスファルト防水。改質アスファルトシートを熱で溶着(トーチ・熱工法)するか、粘着(常温)で積層するかで施工性・安全性・耐久が変わります。本回は、改質アス(SBS/APP)の基礎、段葺き(ステップラップ)のコツ、火気安全・臭気対策、ドレン・立上りの要点、そして数量・温度・写真で品質を“見える化”する方法まで実務で使える形に落とし込みます。
1. 用語と方式の整理
• BUR(Built-Up Roofing):アスファルトを熱で流し、フェルトを複数層重ねる伝統工法。現代では改質アスファルトシートとのハイブリッドが主流。
• 改質アスファルトシート:
o SBS(スチレン-ブタジエン-スチレン):柔軟・低温性に優れる。追従性◎。
o APP(アタクチック・ポリプロピレン):耐熱・耐候性に強い。高温域に有利。
• 熱工法:加熱(バーナー・溶融釜)でシート裏面やアスを溶融し溶着。強固な一体化。
• 常温(冷工法):自己粘着シートや常温接着剤で張る方式。火気・臭気を低減。居住中改修で強み。
ざっくり指針: – 安全・臭気制約が強い→常温(自己粘着+局所熱) – 広面・長寿命重視→熱工法(トーチ/熱融着) – 寒冷・動き大→SBS優位/高日射・高温→APP優位(仕様書優先)
2. 標準構成と段葺き(ステップラップ)
• 層構成の一例(露出防水):
1) 下地(RC・押え・断熱)
2) アスファルトプライマー(含浸・付着向上)
3) 下貼り(ベース)シート
4) 上貼り(キャップ)シート(鉱物粒仕上げ等)
5) トップ保護(必要に応じ遮熱・塗装)
• 段葺き:重ね目を互い違いにずらすことで水路を作らない葺き方。縦・横の継手位置が一直線にならないことが肝。
• 重ね寸法:長手80〜100mm、小口120〜150mmが一般的(製品仕様優先)。小口は水下側を上に。
• 立上り:シートは立上り200mm以上を確保。面と立上りを先行で入隅補強シートでつなぐ。
3. 熱工法の実務—“溶かす量”と“ビード”が生命線
• 温度管理:
o 溶融釜:改質アスの推奨温度帯(例:160〜200℃)。過熱は劣化・発煙を招く。
o トーチ:炎の距離・角度を一定にし、光沢が出る程度に裏面を炙る。“黒光り=OK、焦げ=NG”。
• 溶け代(ビード):重ね部から2〜5mmの溶け出しを連続で確保。ビードの連続性=溶着品質。
• 速度:早すぎ→未溶着、遅すぎ→焼け・収縮。試験片でその日の温度・風に合わせて速度調整。
• ローラー圧:シームローラーで圧着。角・T字はコーナーパッチで二重化。
4. 常温(冷工法)の実務—“密着の均一”が勝負
• 自己粘着シート:
o 施工前にプライマーで受け面の吸い込みを均一化。
o ライナー紙を少しずつ剥がしながら空気抜き。ローラーで全面圧着。
o 低温時は下地・材料を加温。高温時は粘着フローに注意し、端部押さえ金物で補強。
• 常温接着剤:
o 両面均一塗り→オープンタイム→貼付→圧着。塗りムラは後の膨れに直結。
• 局所熱併用:立上り・角・ドレン周りのみホットエアで追い溶着して信頼性を上げる“ハイブリッド”も有効。
5. 下地・断熱との相性と絶縁層
• 湿気だまり対策:旧防水や断熱上に敷く場合、絶縁シートや通気層で水蒸気を逃す。
• 断熱材:XPS/EPS上は耐熱・耐溶剤を確認。不燃面材付きボードやセパレーション層で受ける。
• プライマー:RCはアスファルトプライマー、金属デッキは防錆+目荒し+適合プライマー。
6. ディテール—端末・ドレン・貫通・エキスパンション
• ドレン:
o 改修用ドレンを機械固定+止水材で多重化。
o サドル(盛上げ)で逆流を防止(第3回参照)。
o 溝や側溝は流れ方向に段葺きして水を切る。
• 端末金物:
o 水返し形状+ビス固定+二面接着。上端に返しを入れて毛細管上がりを止める。
• 立上り・入隅:
o 入隅補強シート→本体シート→キャップシートの順で三重化。
• エキスパンション:
o ブリッジシートでせん断を逃がし、押さえ金物は浮かせ納め。
7. 臭気・火気・安全—“段取りが最大のリスク対策”
• ホットワーク許可:火器使用届・近隣掲示・火気監視員配置。
• 消火:粉末ABC・防炎シート・消火バケツを常に手の届く位置に。ガスボンベは直射日光回避・転倒防止。
• 臭気:作業時間帯の配慮、活性炭フィルタ付き負圧集塵や脱臭剤。居住中は常温主体に切替。
• 溶融釜:温度計二重、オーバーヒート警報、飛沫・火傷対策。
8. 気象と養生
• 温度:5〜35℃目安。低温は柔軟性低下→割れリスク。高温は粘度低下→流れに注意。
• 湿度・露点差:3℃以上確保。結露面は施工中止。
• 風:トーチ炎が流される→防風養生。砂塵混入にも注意。
• 雨:工程は区画完結で切る。端末まで完結してから退場。
9. 品質管理(ITP)—数量・温度・写真で“証拠化”
• 数量(kg/㎡):ベース/キャップで所定使用量を日報に記録。過少はピンホール・割れ、過多は流れ・収縮の原因。
• 温度ログ:溶融釜温度・外気・表面温を時間記録。 “温度×速度×ビード”の三位一体で管理。
• 写真標準:
o 段葺きの継手位置マップ
o ビードの連続が分かる寄り写真
o 端末金物・ドレンのディテール
o ホットワーク安全の設備配置
10. よくある不具合と是正 ⚠️
• ビード不連続:未溶着→再加熱→圧着。温度・速度を見直し。
• 膨れ(ブリスター):含水閉じ込め→絶縁層・通気・切開乾燥→再張り。
• 蛇行・シワ:引張りすぎ・温度ムラ→一旦戻して再加熱、端部はテンション均一に。
• 端末の毛細管漏水:返し不足→水返し金物増設+二面接着。
• 焼け・焦げ:加熱過多→速度アップ/距離調整、材料交換。
11. 事例
11-1. 学校屋上(5,000㎡)—熱工法×APP
• 背景:夏季高温・長寿命要求。
• 設計:APPキャップシート×熱工法、隅角ピッチ最密、段葺き明確化。
• 結果:引渡し後2年点検で膨れゼロ。室内温上昇も−3〜5℃に寄与。
11-2. マンション改修—常温主体×局所熱
• 背景:居住中・臭気クレーム懸念。
• 設計:自己粘着ベース+キャップ、立上り・ドレンのみホットエア。掲示・時間帯配慮。
• 結果:クレームゼロ。工期短縮と安全性を両立。
12. 現場5分チェックリスト ✅
☐ SBS/APPの選定根拠(温度・動き・寿命)
☐ 熱/常温の工法選択と臭気・安全条件
☐ 段葺きの継手計画(縦横の直線回避)
☐ 重ね幅(長手・小口)とビード連続確認
☐ ドレン・端末金物のディテール(返し・二面接着)
☐ 絶縁・通気の要否(旧防水・断熱上)
☐ 温度ログ(釜・外気・表面)と数量(kg/㎡)
☐ ホットワークの安全設備・監視員配置
13. まとめ—“厚み×溶着×段葺き”で王道の耐久を
アスファルト防水は、材料寿命だけでなく積層の学問です。段葺きで水路を消し、ビード連続で一体化を担保し、数量・温度で再現性を持つ。安全・臭気への配慮から常温・局所熱のハイブリッド運用も武器。厚み・溶着・段葺きの三拍子を守れば、王道の長寿命屋上が手に入ります。
次回予告:「第11回 端末・立上り・笠木・パラペットの納まり」—“雨は端から入る”。水返し金物、折返し高さ、笠木ジョイント、入隅・出隅の補強、パラペット笠木の“裏の水”を止めるディテールを総点検します。
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私たちが採用において最も大切にしているのは「人柄」です。
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「広い屋上を軽快に、均質品質で仕上げる」。その強みを持つのがシート防水です。工場製の材料を溶着/接合して連続膜をつくるため、膜厚のバラつきが小さく、大面積のスピード施工に最適。一方で、溶着条件・風荷重設計・端末金物の出来で寿命が大きく変わります。本回は塩ビ・ゴム・TPOの違い、機械的固定/全面接着の選び方、溶着品質管理、立上り・ドレン・貫通部の必勝ディテールまで“現場で使える型”をまとめます。
1. シート別のキャラクター
1-1. 塩ビ(PVC)
• 長所:熱可塑でホットエア溶着が容易。白色・淡色で高反射仕上げが可能。成形部材・役物が豊富。
• 注意:可塑剤移行で既存塗膜や断熱材に影響。バリアシートや絶縁層を挟む設計が安全。溶剤には相溶・軟化のリスク。
1-2. ゴム(EPDM)
• 長所:伸び・追従性に優れ、大判ロールで継ぎ目が少ない。温度変化・動きに強い。
• 注意:基本はテープ接合/接着。熱溶着ではないため、プライマー→シームテープ→圧着の管理が命。コーナーやT字は補強パッチで二重化。
1-3. TPO(オレフィン系)
• 長所:可塑剤フリーで汚れにくく、ホットエア溶着可能。白色の高反射で屋上の表面温を下げやすい。
• 注意:材質相性は専用プライマー/接着剤が前提。溶着は温度×速度×圧力のウィンドウに敏感。
ざっくり指針: – 高速施工&溶着検査重視→PVC/TPO。 – 動きが大きい部位・大判一発→EPDM。 – 既存との相性・可塑剤問題はバリア層で回避。
2. 施工工法の選定—機械的固定/全面接着/保護
2-1. 機械的固定(MF:Mechanically Fastened)
• 概要:ディスク/プレート+ビスで下地(デッキ・下地板)に固定し、シーム上で溶着して連結。
• 強み:早い・乾式・含水影響が小さい。雨上がり後の再開が容易。
• 設計ポイント:
o 風荷重ゾーニング(中央・周辺・隅角)でピッチを変える。隅角は最も厳しく。
o 断熱上固定の場合、引抜試験やメーカー計算書でピッチ決定。
o 下地のねじ効き(板厚・材質)を事前確認。
2-2. 全面接着(FA:Fully Adhered)
• 概要:下地に接着剤を塗布し、シート全面を貼り付け。
• 強み:端部・入隅出隅の馴染みが良く、風音・バタつきが少ない。
• 注意:含水下地に弱い接着剤あり。露点差3℃以上・温湿度管理必須。
2-3. 保護工法(バラスト・保護断熱)
• 概要:シートの上に押えコンクリート・平板・砂利等で保護。
• 強み:耐候・耐風圧に有利、温度変化も緩和。
• 注意:点荷重・割れ・排水目詰まり。重量・構造チェックは必須。
3. 溶着・接合の品質管理(PVC/TPO=溶着、EPDM=テープ)
3-1. ホットエア溶着(PVC/TPO)
• 三要素:温度×速度×圧力。試験片でその日の最適値を先に出す。
• 手順:重ね巾80〜120mm(仕様書優先)→予備溶着(タック)→本溶着→シームローラー圧着。
• 検査:
o ピール・せん断の簡易テスト(ドライバー先端でプローブを入れ、剥がれないか)。
o 試験片のピール試験(必要に応じ)。
o ビード連続性を目視+指触で確認。
• T字・十字:角パッチで重ね部を二重化し、水の回り込みを遮断。
3-2. テープ接合(EPDM)
• 手順:清掃→プライマー→シームテープ→圧着。ローラーで圧力一定に。
• 要点:オープンタイム厳守、寒冷時は加温。T字はパッチで補強。
NG例:溶着温度だけ上げて速度も圧力も上げず“焼け焦げ”。一見くっついていても実は弱い。試験片→調整をルーチン化しましょう。
4. 端末・立上り・ドレン・貫通部の“勝ちディテール”
• 立上り:
o 高さ:外部は200mm目安(最低150mm)。
o 押さえ金物:水返し形状の金物+ビス固定+シール二面接着。上端は返しで毛細管上がりを止める。
• ドレン:
o 一体型フランジ(材質適合)に溶着。既存改修は改修用ドレンで差し込み+機械固定+止水材。
o サドル(盛り上げ)で逆流・滞水を防止(第3回参照)。
• 入隅・出隅:成形コーナー or 現場パッチで二重化。
• 貫通部:成形ブーツ+クランプ→周囲200mm幅で補強貼り。温度伸縮を考慮し余裕を持たせる。
• エキスパンションジョイント:ブリッジ材やルーズラップで剪断を逃がす。
5. 風荷重と固定ピッチ—“隅角が一番キツい”
• ゾーニング:隅角>周辺>中央の順で吸上力が大。
• ピッチ設計:メーカーの計算書/設計表でねじピッチ・ディスク間隔を決める(下地厚・高さ・地形区分を入力)。
• 試験:必要に応じ引抜試験で下地の保持力を実測。
• 端部納まり:風返し金物と連続固定で“端からのめくれ”を防ぐ。
6. 断熱材・既存層との相性
• XPS・EPS:溶剤・可塑剤の影響を受ける場合、絶縁シートやボードで遮断。
• フェルト・旧防水:湿気だまりを作らないよう通気層 or 絶縁で切替。
• 可塑剤移行:PVC上に塗膜を重ねる場合は可塑剤バリアプライマーが必須(第5回)。
7. 気象・施工管理
• 温度:溶着は10〜40℃(目安)。低温時は予熱・速度低下。高温時は温度下げ・速度上げ。
• 湿度・露点差:露点差3℃以上。朝露・霧雨は施工中止。
• 風:溶着部の冷却・埃に影響。防風シートや風下養生を。
8. 維持管理・補修—“貼って溶かして戻す”
• 清掃:落ち葉・砂埃→ストレーナ清掃。白系は汚れが寿命に直結(温度上昇→劣化)。
• 点検:年1回以上。端末金物の緩み・シール劣化・シーム剥離を重点。
• 補修:
o PVC/TPO:同材パッチをホットエア再溶着。縁は丸く切る。
o EPDM:プライマー+テープパッチ。
• 保証:定期点検・清掃記録が条件のことが多い。引渡し時に点検周期と責任範囲を明文化。
9. 事例
9-1. 3,000㎡屋上(機械的固定×TPO白色)
• 課題:夏季の室内温上昇・強風地域。
• 設計:TPO白色で反射。隅角ピッチ最密、中央は緩め。パラペット金物は水返し形状で連続固定。
• 結果:屋上表面温−10℃(夏季ピーク)。風音・バタつき無し。
9-2. 既存塩ビの改修(可塑剤移行対策)
• 課題:旧PVCの可塑剤が上がり汚染・ベタつき。
• 対策:バリアシートで絶縁→新規PVCを溶着。端部は金物+二面接着で締め。
• 結果:汚染再発なし。剥離ゼロ。
9-3. 開放廊下(EPDM全面接着)
• 課題:振動・温度変化が大きく、騒音配慮が必要。
• 対策:EPDM+FA。プライマー→テープでシーム処理、コーナーは二重パッチ。
• 結果:10ヶ月点検で継ぎ目良好、歩行感ソフトで評判◎。
10. 現場5分チェックリスト ✅
☐ PVC/EPDM/TPOの選定根拠(動き・臭気・反射・相性)
☐ MF/FA/保護の工法選択と理由
☐ 風荷重ゾーニングとピッチ設定(計算書)
☐ 溶着条件(温度・速度・圧)試験片の写真
☐ 角・T字の補強パッチ計画
☐ ドレン:一体フランジ+サドル+改修用可否
☐ 端末金物:水返し形状・二面接着・連続固定
☐ 断熱・既存層との相性(絶縁・通気)
☐ 清掃・定期点検の運用表と保証条件
11. まとめ—“スピード×均質×風設計”で寿命を伸ばす
シート防水は、工場品質×現場溶着というハイブリッド。勝ち筋は、溶着を数値で合わせる/風荷重でピッチを決める/端末金物の水返しで止めるの三点。材料の相性(可塑剤・断熱材)と清掃運用まで含めて設計すれば、広い屋上でも長寿命が実現します。
次回予告:「第10回 アスファルト防水(常温・熱工法の違い)」—トーチ/熱工法/常温の使い分け、ラップ幅・段葺き、改質アスの選定、火気安全・臭気対策、耐久とコストの最適点を解説します。⬛
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